Research

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Introduction

当研究室では、グリーンケミストリーやクリーンなエネルギーを生み出すための反応プロセスの実現を目指し,低環境負荷型プロセス実現のためのキーマテリアルとして注目されている規則的な微小空間を有する無機多孔体(ゼオライト、メソポーラス物質)、分子性遷移金属酸化物(ポリオキソメタレート)および層状ケイ酸塩の合成とその応用に関する研究を行っています。

主に行っている研究は以下のようなテーマです。

  1. 構造中にナノオーダーの空間を持つ材料(ゼオライト、層状ケイ酸塩、メソポーラスシリカ)の合成に対する、合成メカニズムの解明さらにはその制御という観点からの触媒・吸着特性の自在設計
  2. 高機能ゼオライトや類縁材料を用いた環境調和型の触媒・吸着材開発(大気中または工業排ガス中の二酸化炭素の回収および資源化、自動車排ガス中有害物質(窒素酸化物・炭化水素)の除去、バイオエタノールからのプロピレン高選択的合成)
  3. 省エネルギー型の蒸留代替技術であるゼオライト分離膜の開発
  4. 新規ポリオキソメタレート材料の開発

Zeolite

分子レベルの大きさの均一なミクロ細孔を有す結晶性アルミノケイ酸塩ゼオライトは、その“分子ふるい作用”、“固体酸性”、“イオン交換能”等により、我々の生活を身近で支える機能性ナノ空間材料として古くから幅広い分野で利用されています。当研究室で開発した、既存のゼオライトを出発原料に用いて目的のゼオライトを合成する”ゼオライト転換法”は出発ゼオライトの分解により局所的秩序構造を有する構造ユニット(ナノパーツ)が形成され、それらが構造規定剤として作用するカチオン存在下で有機的に結合して行くことにより核形成・結晶成長が進行するため、迅速かつ高純度でゼオライトの合成が可能です。さらに、本手法によって得られたゼオライトはその優れた機能から「省エネルギー型の蒸留代替技術である膜分離」、「バイオエタノールからのプロピレン高選択的合成」、「自動車排ガス中の窒素酸化物のアンモニア選択還元(NH3-SCR)」等への応用が期待されています。さらに、最近では、ゼオライト転換によるゼオライト結晶の生成過程を明らかにするために、ゼオライト転換過程中に存在するナノパーツの化学構造をNMR、ラマン分光、質量分析(ESI-MS、MALDI-MS)等を用いて解析を進めています。

Layered silicate

層状ケイ酸塩は層(ナノシート)間に規則的に存在するSiOH/SiO-基を利用して機能ユニットを緻密に配置することで、多彩な機能を持つ材料の設計が可能であり、触媒、吸着分離材、光学材料等への応用を目指した研究が活発に行われています。また、その自由度の高い合成手法から、層状化合物の中でも多種多様な結晶構造、シリケート骨格構造構築の可能性を秘めており、その多様な構造を活かした、先進的な応用用途の開拓が期待できます。我々は、新規の層状ケイ酸塩に着目し、その合成、構造解析、材料設計およびその応用を一貫して行っています。これまでに得られた新規層状ケイ酸塩をHiroshima University Silicate(HUS)と名付け、それらの新規構造、構造的特徴を最大限に活かすことで、より多彩な機能材料の創製を目指し、層状ケイ酸塩の規則的二次元空間を利用した吸着場、触媒反応場の設計および応用を進めています。現在、得られた新規層状ケイ酸塩HUSを「希少金属の濃集剤」、「工業廃液中の有機化合物の選択的吸着材」、「より効率的な光または熱触媒反応のための設計母体」「規則的多孔体(ゼオライトやメソポーラスシリカ)設計のための前駆体」等の用途へ向けて研究を進めています。

Polyoxometalate

前周期遷移金属のうち5族および6族のオキソ酸アニオンは酸性条件下で縮合して、ポリオキソメタレート(Polyoxometalate: POM)と呼ばれる分子性多核オキソ酸アニオンを作ります。このポリオキソメタレートは様々な元素との組み合わせで多彩な構造が可能であることに加え、強酸性質、多彩な酸化還元能および酸化条件化での高い安定性を持つことから酸触媒および酸化還元触媒として優れた材料です。我々は、このポリオキソメタレートを用いて新しい材料の開発を行っています。現在、進行中のテーマは「新規ポリオキソメタレート化合物の合成と構造解析」、「ポリオキソメタレートの自己集合による新規金属酸化物の合成と構造解析」、「ポリオキソメタレートを用いた触媒材料の開発」、「ポリオキソメタレートを用いた新規規則的多孔体の合成と構造解析」です。